その瞬間を見てしまった。
打席に入っていとも簡単に打っていった。一球目。
当然のように打って一塁ベースの上でヘルメットを取って答えた。

大きな大きなメジャーリーガー達が全員ベンチの前にでて、讃えている。
その事が凄いなあと思った。

でも実は私はイチロー氏の事をとても心配している。
彼が現役から離れる時、どうなるか。どうなってしまうのか。こんなにも
数々の記録を作った男はどんな事を思うのか。
そんな事が心配でたまらないのだ。
これから取材合戦で世界中で報じられる事だろう。
賞賛の渦の中、またイチロー語が飛び出すかもしれない。
光が強ければ強いほど、影も大きく色こくなると思うのだ。
彼の気質と野球に捧げた時間を計算する。
あゝやっぱり彼の事が心配でたまらない。
世界中がお祝いムードの中、私は心配の種を抱えて冷えていく。